田島:あと基礎のお話しもされてましたが、その基礎については?

せこ:「基礎が頑丈だから自然災害に強い家だ」というようなメッセージを見かけますがここまで話してきたように基礎だけではなく、基礎から上の構造をいかに変形させないかであり、その前提で基礎が壊れないようにするのが本来の構造設計です。自然災害には地震や台風の他にも地盤がゆるくなったことで沈下する現象にも注意を払わなければなりません。

田島:沈下する現象は地盤の弱さと家の重さも関わってきますか?

せこ:はい。建築基準法でも‘地盤強度に応じた基礎の種類’‘基礎の仕様(様々な寸法や鉄筋の基準)を定めていますが、私たちはさらに構造計算のノウハウを活かして詳細な基礎の設定を行うのです。

田島:自然災害への対策はよくわかりました。話をこだわりの木に戻しますが適材適所に使う木が違うと仰っていました。設計の時点からどこにこの木を使おうとかイメージされているのですか?

せこ:もちろん、木を知り尽くした当社ですから設計の時点から細かに使い分ける木を考えながら設計をしています。もともと自社に設計チームがあったのですがより一層設計力、専門性を向上するため設計事務所を独立する事にしました。設計事務所はMuku Design Studio(以下:MDS)と言います。設計から家が完成するまで全ての監理を行いますのでとてもスムーズに進めるんです。

『(いい)家づくりに、営業マンは必要なのか?』

田島:先ほど設計から家を建てるまで全てを行うと話されていましたが営業マンもいらっしゃるのですか?

せこ:いえ、当社に営業はいません。設計には設計のプロ、現場には現場のプロ、そのプロたちが皆、自社ストックの木にも実際に触れて無垢の木の良さを熟知している‘木のプロ’でもあるので当社のこだわりや良さを全員が施主様に説明できるのです。だから当社に営業は必要ありません。営業にかける費用は、材木の調達にと考えています。

『温熱環境や空気質など健康に暮らすための必要条件』

田島:-無垢の木だから自然にも人にも優しいと話されていましたが、他にもそういった環境へのこだわりはありますか?

せこ:はい、もちろんあります。例えば室内の温度環境を一定に保てる温熱環境だったり人が呼吸をするときに肺に影響が及ぶこともある空気の流れを考えた空気質だったり。私たちが建てた家で暮らす施主様は口を揃えて「四季を通じて寒くも暑くもなく本当に快適で気持ちいい」と言ってくれます。実際に当社で建てた家には夏も冬もエアコン一台で過ごせるほど電気代が節約されお財布にも優しい温熱環境をご提供できたりしているんです(笑)でも、こうした一年を通じて快適な住まいを提供できるまでには試行錯誤の連続でした。ある時期に「高断熱・高気密の家」のことを知りました。北の寒い地域において成功した家づくりの話が本州にも少しずつ流れてきた頃ですが、その理論が間違っていないと感じ、「とにかく実践してみよう」と思い、湿度の高い三重県の地域性も考慮し「夏対策」を組み込みながら様々に試行錯誤を繰り返す中で、地域にふさわしい高断熱・高気密住宅がはっきりと見えてきたのです。私たちが目指したの「住まいを快適にしたい」という思いを追及したら高断熱・高気密住宅になったということです。今では「高断熱・高気密住宅をつくっている」という意識もないほど当たり前になっていますね。

■「せこ住研の家」の温熱環境


●せこ住研冬データ
 2008年2月の測定結果です。代表的な2日間を取り上げています。このグラフから次のようなことがわかります。
①外気温の大きさに比べ、室温が安定している。
 24時間連続で暖房をかけているわけではなく、起床時と夕方以降にのみ暖房している状況で、このような室温になっていることに意味があります。断熱性能、気密性能の高さがもたらしさ結果です。
②外気温が0℃ほどの最低気温を示す早朝において、室温が15℃程度を保っている。
 もちろん深夜に暖房をかけているわけではありません。前の日に得られた日射熱、夕方以降の暖房熱が高い断熱性能・気密性能によって室内に蓄えられ、外に逃げないことで生まれている現象です。起床時のこの室温は想像できないくらい快適です。
③湿度も快適な範囲で、極めて安定している。
 冬場に過乾燥状態になる家が多く見られるのですが、これは温風式の暖房器を使うことにより、乾燥している外気がたくさん室内に入ってくることが原因です。適切な断熱・気密にして、床暖房などの輻射型の暖房を「やわらかく」かけることで、こうした快適な湿度環境が生まれます。


●せこ住研夏データ
 2008年2月の測定結果です。やはり代表的な2日間を取り上げています。これでわかるのは次のようなことです。
①外気温が40℃を超えるような猛暑の日の昼間でも、室温は30℃を少し超えたくらいに保たれている。
 このような日では、屋根の表面温度は80℃くらいになります。外壁の表面温度も50℃を超えます。この熱がそのまま室内に伝わってくれば、室温は相当なものになってしまいます。また窓から直接入る日射熱もかなり大きなものです。屋根や外壁の断熱性の高さ、そして軒を出すなどの日射遮蔽対策が、室温上昇を防いでくれているわけです。
②室温が30℃を下回っている時間が多い。
 室温が30℃を下回り、風が通っていれば、ほとんどの人はエアコンをかけません。実際、この家ではエアコンをほとんど使わずに夏を過ごしています。
③湿度が安定している。
 外気の大きな湿度変化に比べ、室内の湿度はかなり安定しています。これは無垢材を内装材にふんだんに使うことで、その調湿性能が発揮された結果であると思われます。